出身は宇和島で、元々母１人子ども３人の母子家庭でした。母親が働きに出ている分地域の皆さんにたくさん支えられて育ってきたので、私も将来場所こそ変われど、何らかの形で地域に恩返しできる職業に就きたい、と思い今に至っています。元々正光会が運営している宇和島看護専門学校も実家から自転車ですぐの距離にあり、そこに通う兄からも「アットホームないい学校だよ」と勧められ進学を決めました。卒業後そのまま入職し御荘圏域の配属になって、20年近くずっとこの地域で働いています。病棟に限らずデイケア施設や訪問看護の現場に携わったり、入職2年目で認知症専門のデイサービス立ち上げに管理者として関わったり。看護師という職種に囚われずいろんな地域貢献の経験を詰ませて頂き、現在は「看護小規模多機能型居宅介護事業所アロハ」の施設長として従事している形です。

　利用者さんにとって何が一番最善かを常にチームで考える、諦めない姿勢は大事にしている姿勢のひとつです。日々様々な症状を抱える方と接しますが、時には本当に困難な状況に陥ることも当然あります。障がいと共に歩むのは簡単ではありませんが、それでも皆さんがその人らしい日常を送ることを諦めず、いろんな手段を模索し続けるようにしています。24時間365日対応可能な体制や、利用者さんのご家族との密な連携もその方法のうちのひとつですね。重ねてその中で、「あの人はこうだから」「この人は無理だろう」といったレッテルを剥がして、一人ひとりときちんと向き合う事も大切にしています。思い込みや型に嵌めた発想は、利用者さんの可能性を狭めてしまうだけですから。

　施設長の立場ですと、先述の話のように利用者さんを支える選択肢を増やすには、様々な視点が必要なんです。なので、今よりさらに多彩な考え方を持つ職員が増えるといいな、という気持ちがまずありますね。例えば私の場合、あちこちを訪問で飛び回るのは苦ではない一方で、細々とした屋内作業が少し苦手で。そこをフォローしてくれるスタッフには「石川さんがいると余計ややこしくなる！」とよく怒られるんです(笑)ですがそうしてお互い得意分野が違うことで利用者さんの支援方法を増やせますし、専門知識がないからこそ気づけることもたくさんありますから。また私個人の話ですと、入職20年目の節目になる来年、ここで働きながら大学院へ通うことになりました。職種や仕事に囚われず、一人間としての幅を今後もより広げていきたいですね。